掛物の損傷で最もよく見られるのが「折れ」です。この「折れ」が原因となり、作品に修復が必要な深刻なダメージが発生することがあります。折れた部分は、仕立て直しをしない限り元の状態に戻ることはありません。また、たとえ仕立て直しても、折れた部分の顔料が剥がれてしまった場合、その部分を完全に修復するのは非常に難しいのが現実です。そのため、掛物を取り扱う際には、折れができないように十分な注意を払うことが重要です。
特に、掛物に強い横折れが見られる場合は、ダメージが進行してさらに修復が困難になる前に、早めに仕立て直しを行うことを強くおすすめします。早期の対応により、掛物の美しさをできるだけ長く保つことが可能になります。また、仕立て直しの際には、専門的な技術を持つ職人に依頼することで、作品に最適なケアを施し、その価値を守ることができます。
掛物はそのままの状態で飾るだけでなく、適切な管理とメンテナンスを行うことで、長く楽しむことができる芸術品です。大切な作品を守るためにも、日頃からの取り扱いには十分な配慮をお願いいたします。